大学で日本語を受講している初級レベルの学習者を対象にした日本語を教養科目として受講している目的というアンケートの項目に対して、過半数以上の学習者がコミュニケーションの上達や簡単な書き方の上達であると答えた。それで、本研究はこのような学習者のニーズに合わせ、外国語の四つの主なスキルー書く話す読む聞くの中で、特に書く、話すという算出機能の上達を図ろうとして行ったものである。しかし、従来の研究では、話すは音声言語であり、書くは文字言語であるため、別の分野として扱われてきた。が、最近の流れであるピア․ラーニングを用いての教室活動ー特に、館岡(2007)、広瀬(2007)などーでは書きをしながら、話しも同時に効果的な成果がえられたという論文が多数発表されている。そこで、本稿では、これに学んで、主にピアラーニングを中心に、初級レベルでの語彙と日本語の表現の上達を試みる幾つかの授業モデルについて研究を行った。この際、日本語の語彙の上達に関する教室模型については、デービットニュナン(David Nunan)のATLASを参照した。また、話しの上達のための授業環境に関する理論は、ブラウン&ヨール(Brown&Yule)に従い、コミュニケーションストレースがあまりない教室の雰囲気を作ろうとし、2~3人のピアでの学習者の均質化を図った。