本稿は、韓国と日本の教員を対象とし、非教員に対する先生呼称の使用実態と意識を対照分析した。分析の結果、以下のような結果が得られた。第一に、非教員が先生と呼称されることに違和感を感じる教員は日本の方が韓国より多く、違和感がないと答えた教員は韓国の方が多い。先生呼称使用の拡大傾向は日本より韓国の方がもっと強くなると考えられる。また、韓国の教員の場合、非教員に比べて教員に対する呼称=先生という絶対的な呼称意識が強い。第二に、韓国の教員は典型的に先生と呼称される職業群以外の人に対する先生呼称の使用率が低く、韓国社会の先生呼称使用の拡大傾向のレベルまでは至っていない。日本の教員の先生呼称の使用対象は非教員のそれとあまり違いがない。今後、韓国社会における先生呼称使用の拡大現象を受け入れる速度は教員より非教員の方が速いと予測されており、日本社会では教員、非教員ともにその現象を受け入れる速度には違いがないと見られる。