本研究では、韓国のガールズグループである少女時代・A p in k・T W IC Eの日本 語曲について、わよのよねなど話者が女性であることを示す文末詞女性文 末詞を中心に表現の特徴を分析した。 調査にあたっては、韓国で発表した曲を日本語化した翻訳曲と、日本で独自に 発表したオリジナル曲に分けた。それぞれの曲で使われている文末表現を調査した 結果、オリジナル曲でも女性文末詞がある程度使われている一方、翻訳曲で女性文 末詞の使用が顕著にみられるわけではないことが確認された。
翻訳曲といっても、 原曲のメロディに合わせるなどの必要性から翻案に近い部分もあり、日本語曲と してのオリジナル性を持つためであると考えられる。その一方で、テ形命令の使用 率は翻訳曲のほうがオリジナル曲よりも高かった。これは原曲のストレートな表現 が翻訳曲に反映されたためと推測された。このことは、翻訳曲には女性文末詞以外 の文末詞がオリジナル曲よりも多かったという結果とも関連する可能性があるが、 これについては歌詞の内容にも関わるため、今後の検討課題とした。
グループ別にみると、少女時代の曲には、数は少ないものの各種の女性文末詞 が散見された。一方、A p in kとT W IC Eの曲でも女性文末詞が使用されていないわ けではないが、種類は限られていた。A p inkとT W IC Eの曲は女性の日常的な感情 をつづった歌詞となっており、スポーツマンガについての先行研究の指摘と同 様、聴き手が感情移入しやすいように、実際には使われない女性文末詞は極力排 除された結果であると考えた。